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患者の不正請求の情報提供で個別指導が開始され、監査に移行し、保険医の取り消しとなった実例です。指導、監査に臨む医師の方は、個別指導に強い弁護士にご相談下さい。

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12 保険医療機関、保険医の取消の実例(12)

医科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務を行っています。

個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、患者の情報提供により個別指導が実施され、その結果、監査となり、不正請求の事実が認められ保険医療機関の指定の取り消し、保険医の登録の取り消しとなった実例をご紹介します。平成30年9月付の取消事案であり、厚生労働省の九州厚生局が公表した事例です。説明のため簡略化等をしています。

個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

【コラム】個別指導と監査の上手な対応法


患者の情報提供による個別指導、監査、取消処分の実例


九州厚生局は、平成30年9月7日付けで、保険医療機関に対する指定の取消処分及び保険医に対する登録の取消処分を行いました。
この処分は、実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求したことによるものです。(不正・不当請求額 約14万円)
なお、今回の処分にあたっては、平成30年9月4日に開催された九州地方社会保険医療協議会に諮問を行い、諮問のとおりの答申がなされています。

 個別指導と監査の経緯

厚生労働省九州厚生局の公表資料によれば、個別指導、監査に至る経緯は以下のとおりです。

1 不正請求(振替請求)の情報提供

平成26年5月、患者から九州厚生局長崎事務所に対し、コンタクトレンズ装用後の定期検査のために医療法人の眼科医院を受診したところ、再診料とコンタクトレンズ検査料ではなく、初診料と眼科学的検査料を請求されたとの情報提供がなされた。

2 個別指導の実施、指導の中断

平成27年2月、当該眼科に対し個別指導を実施したところ、開設・管理者で保険医でもある医師は、コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者については、コンタクトレンズ検査料2により保険請求すべきであることを認識していたものの、実際には初診料と眼科学的検査に係る費用として保険請求している事例が認められた。

3 患者調査の実施、不正の事実の確認

その後、患者調査を実施したところ、調査に応じた24名のうち22名は、コンタクトレンズの装用を目的に受診したにもかかわらず、眼科学的検査に係る費用として出来高で請求されていることを確認した。

4 不正請求の疑いでの指導の中止、監査の実施

平成27年9月、個別指導を再開したところ、コンタクトレンズの装用を目的に受診した場合はコンタクトレンズ検査料2で請求すべきであるにもかかわらず、眼科学的検査に振り替えて出来高で診療報酬を不正に請求していることが強く疑われたことから個別指導を中止し、監査を実施した。

 取り消しの主な理由

【不正請求】

振替請求

実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
屈折異常でコンタクトレンズの装用を目的として継続的に受診している患者に対し、本来、再診料を請求すべきであるにもかかわらず、初診料を請求していた。
コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者に対して眼科学的検査を行った場合、本来、コンタクトレンズ検査料2で請求すべきであるにもかかわらず、以下の眼科学的検査に係る費用を個々に出来高で請求していた。また、このことにより、本来、コンタクトレンズ検査料2を算定する場合には算定できない夜間・早朝等加算を請求していた。
 精密眼底検査(両側)、屈折検査、矯正視力検査2、精密眼圧測定、細隙燈顕微鏡検査(前眼部)、細隙燈顕微鏡検査(染色)、涙液分泌機能検査

【不当請求】
算定要件を満たさない初・再診料に係る夜間・早朝等加算の診療報酬を不当に請求していた。
算定要件を満たさない検査の診療報酬を不当に請求していた。

【根拠条文】
保険医療機関の指定取消
 健康保険法第80条第1号、第2号、第3号及び第6号
保険医の登録取消
 健康保険法第81条第1号及び第3号

 診療報酬の不正、不当請求の金額

九州厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求の金額は、以下のとおりです。

平成26年1月〜平成26年12月分
 不正請求 23名分 44件 13万3035円
 不当請求  1名分  2件    4760円

上記の件数及び金額は、監査で確認したもののみを計上しており、最終的な不正・不当請求の件数及び金額は、今後精査していくこととしているので、現時点では確定していない。


個別指導、監査に臨む医師の方は、お電話下さい。患者の情報提供での個別指導への対応など、弁護士がアドバイスします。

個別指導、監査のコラム


指導監査(医科)のコラムの一覧です。
情報提供(患者)での個別指導の取消処分の他、多数の実例をご紹介しています。
個別指導、監査の際にご活用下さい。

 指導監査のコラム

1  個別指導と監査の上手な対応法

 保険医取消の実例紹介のコラム

1  保険医取消の実例:後発医薬品を先発医薬品とする不正請求

2  保険医取消の実例:診療報酬不正請求による逮捕と保険医取消

3  保険医取消の実例:検査結果の廃棄、保険適用外診療の不正請求

4  保険医取消の実例:死亡患者の診療報酬請求、コンタクトの不正

5  保険医取消の実例:鍼灸院や整骨院との不正請求、診療録の不作成

6  保険医取消の実例:監査の不出頭、カルテの改ざんによる取消処分

7  保険医取消の実例:無診察処方、無診察投薬による取消処分

8  保険医取消の実例:個別指導中の医師の入院と指導の延期

9  保険医取消の実例:個別指導の中断、中止、監査での取り消し

10 保険医取消の実例:架空請求の情報提供での保険医の取り消し

11 保険医取消の実例:廃止した医院への個別指導を経ない監査

12 保険医取消の実例:患者の情報提供による個別指導

13 保険医取消の実例:医師の名義貸しでの個別指導、監査

14 保険医取消の実例:無診察での不正請求

15 保険医取消の実例:無診察診療での個別指導

16 保険医取消の実例:再指導での個別指導からの監査

17 保険医取消の実例:刑事事件の有罪判決での保険医取消処分

18 保険医取消の実例:訪問看護ステーションへの個別指導

19 保険医取消の実例:子供の診療での不正請求

20 保険医取消の実例:14日後付け処方せんでの個別指導

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